『宙わたる教室』あらすじ・ネタバレ・ドラマの見どころを紹介【第三話より】

最近、心から感動できるドラマに出会いました。それが『宙わたる教室』という作品です。見るたびに胸がいっぱいになり、観終わった後はいつも深い余韻に浸っています。それくらい、心にスッと入ってきて、温かく満たしてくれるような素敵なドラマです。

このドラマの舞台は、さまざまな過去や事情を抱えた人々が集まる「定時制高校」です。生徒たちは辛い環境や孤独と闘いながらも、少しずつ前に進んでいく姿が描かれています。その姿に思わず応援したくなります。

特に、過去に傷を負い、孤独を感じた経験がある方には、このドラマのメッセージが深く刺さるのではないかと思います。人間らしい弱さと強さ、そして再生の物語が優しく丁寧に紡がれています。

『宙わたる教室』は、派手な演出や大きな話題性こそないかもしれませんが、だからこそこのドラマの存在を多くの方に知っていただきたいと思いました。この記事を通じて、少しでもこの作品の魅力が伝われば嬉しいです。

このドラマは特にこんな方におすすめです！

孤独を感じたことがある方
心の成長を描いた作品が好きな方
科学に興味のある方

Contents

『宙わたる教室』とはどんなドラマ？
印象に残ったシーンやその感想
- ＃3「オポチュニティの轍」より
さいごに

『宙わたる教室』とはどんなドラマ？

『宙わたる教室』は、2024年10月よりNHK総合で放送されたテレビドラマです。原作は伊与原新の同名小説で、2023年10月20日に文藝春秋から刊行されました。物語の舞台は東京・新宿にある定時制高校で、さまざまな事情を抱えた生徒たちが通っています。元エリート科学者で理科教師の藤竹叶（窪田正孝）が、生徒たちとともに科学部で「教室で火星を作る」というテーマに挑戦し、成長していく姿が描かれています。生徒たちは、科学を通じて自分の殻を破り、成長する姿が感動的に描かれています。

以前から感じていたことなのですが、NHKのドラマは個人的に面白い作品が揃っていると思っています。例えば、『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』や『透明なゆりかご』、『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ』など、私のお気に入りの作品も多くあります。これらの作品はどれも印象に残る内容で、そんな中で『宙わたる教室』も新たに加わった素敵なドラマの一つです。

※以下ネタバレを含みますので、まだ観ていない方はご注意ください

印象に残ったシーンやその感想

＃3「オポチュニティの轍」より

引用元：月探査情報ステーション

東新宿高校定時制で保健室登校を続ける１年生の名取佳純（伊東蒼）。彼女は起立性調節障害を抱えており、その苦しみを家族や周囲に理解してもらえないことで、孤独を感じていました。

そんな中、養護教諭の佐久間（木村文乃）は、佳純が保健室で書いていた来室ノートの中に科学に関する記述を見つけ、藤竹（窪田正孝）に相談します。佳純がＳＦ小説を模した独特の書き方で心情を表現していることに気づいた藤竹は、彼女を放課後の物理準備室に誘います。

佳純は少し躊躇しましたが、佐久間に背中を押され、勇気を出して保健室以外の場所へと一歩を踏み出しました。

「火星の夕焼けを再現します。実は火星の夕焼けって青いんですよ」と語りながら藤竹が行った実験に、佳純は心を惹かれます。そして佳純は、火星探査車オポチュニティの写真を藤竹に見せました。藤竹はその写真について語ります。

「それはNASAの探査車オポチュニティが撮った写真です。これは、オポチュニティが一人で来た道を振り返って撮ったものなんです」

「遠い星に一人ぼっち…」その話を聞き、佳純はオポチュニティに親近感を抱きます。

しかし、後にあるトラブルが原因で心が折れ、佳純は自暴自棄になってしまいます。彼女は学校の屋上で一人、夜空を見上げていました。そこに藤竹が現れます。

屋上からは火星が見え、佳純は自分の状況を火星の荒野に一人取り残されたオポチュニティに重ねます。

「あそこに今も壊れたままのオポチュニティがいるんですね。寂しいだろうな」とつぶやく佳純。
しかし藤竹は、オポチュニティの存在を違った視点で伝えます。

「オポチュニティの活動限界は3ヶ月と言われていました。でも15年も持ったのは、想定外の幸運が重なったこともあるけど、それだけじゃない。オポチュニティができるだけ長く旅を続けられるように、スタッフたちはあらゆる努力をした。彼らも一緒に長い旅を続けていたんですよ」

さらに藤竹は、オポチュニティの最後の瞬間について語ります。

「8ヶ月通信が途絶えたオポチュニティに最後のコンタクトを取った日、ミッションに関わった大勢のチームのメンバーが集まった。短い信号を4回発信して、やっぱり反応なし。マネージャーが『15年の任務、ご苦労さま』そう言って、ミッション終了を宣言した時、みんなで泣いたそうです」

藤竹は続けます。

「火星の荒野でたった一人ぼっち。オポチュニティの轍を孤独の象徴だと捉える人もいるかもしれない。でも僕には、少しでも前に進もうって、懸命に生きた証しに思えるんですよ」

藤竹の言葉は、佳純の心に少しずつ響き、閉ざされた彼女の世界を広げるきっかけとなっていきます。

このエピソードを通じて、心に浮かんだのは「孤独の中にも支えがある」というテーマです。

起立性調節障害を抱え、その苦しみを周囲に理解してもらえない佳純の心情は、とても孤独なものでした。しかし、藤竹と佐久間との関わりや科学との出会いが佳純に新たなきっかけを与え、少しずつ前向きな変化を見せていく様子がとても印象的でした。

藤竹の言葉にはとても惹かれます。直接的ではないけれど、佳純の心にそっと寄り添いながら背中を押してくれるような優しさが感じられます。

火星探査車オポチュニティの話を通じて、「孤独に見える轍も、懸命に前に進んだ証」と語る場面は、佳純だけでなく私自身にも深く刺さりました。その言葉は、これまで自分が感じてきた不安や孤独な時間さえも、決して無駄ではなかったのだと思わせてくれました。たとえ誰にも気づかれないような足跡であっても、それが自分の歩んできた道であり、確かな証だということに気づかされました。