以前、樹木希林さんのベストセラー『一切なりゆき~樹木希林のことば~』を読んでから、私はすっかり希林さんのファンになりました。普段つい物事を深く考えすぎたり、小さなことでクヨクヨしてしまう私にとって、希林さんの言葉はそっと背中を押してくれるような温かさを感じさせてくれます。不思議と心が軽くなる、そんな力がある言葉ばかりです。
そんなとき、希林さんの言葉を集めた本があることを知り、早速手に取ってみました。優しさがぎゅっと詰まった素敵な一冊だったので、今日はその魅力をご紹介しようと思います。
この本は特にこんな方におすすめです!
- 考えすぎてしまう人
- 心の拠り所を探している人
- 短い時間で深い言葉に触れたい人
作品情報
- タイトル:樹木希林 120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ
- 著者:樹木希林
- 出版社:宝島社
- 発売日:2019年1月28日
- ページ数:279ページ
- ISBN:978-4-8002-9192-9
内容紹介
『樹木希林 120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ』は、2018年に逝去された女優・樹木希林さんの生前の言葉を集めた名言集です。本書は、老い、孤独、病、仕事、家族、夫婦関係など、人生のさまざまな側面に関する樹木さんの深い洞察や哲学を反映しています。
本書は以下の章立てで構成されています。
- 生――人生と幸福について
- 病――がんと病いについて
- 老――老いと成熟について
- 人――人間と世間について
- 絆――夫婦について
- 家――家族と子育てについて
- 務――仕事と責任について
- 死――生と死について
各章には、樹木希林さんの率直で奥深い言葉が綴られており、彼女の人柄や人生観が垣間見えます。テーマごとに分かれており、どんな人にも心に響く言葉がきっと見つかります。
『樹木希林 120の遺言』を読んで印象に残った言葉・エピソード
『樹木希林 120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ』の中には、希林さんの人生哲学が詰まった言葉が数多く登場します。彼女の率直で深い言葉たちは、時にユーモアを交え、時に鋭い視点で私たちに語りかけてきます。その中でも、特に心に響いた言葉やエピソードは数多くあり、そのどれもが私たちに大切な気づきを与えてくれるものばかりです。今回は、私が印象に残った言葉をいくつか紹介し、それについて感じたことや自分の思いを綴っていきたいと思います。
「第一章:絆――人生と幸福について」より抜粋
「どうぞ、物事を面白く受け取って愉快に生きて。あんまり頑張らないで。でもへこたれないで。」
ニューヨークでインタビューに答えて。―2018年7月
この言葉の解説として、「ものには表と裏があって、どんなに不幸なものに出会っても、どこかに灯りが見えるものだというふうに思ってるの。もちろん、幸せがずっと続くものでもないから、何か自分で行き詰まった時に、そこの行き詰まった場所だけ見ないで、ちょっと後ろ側から見てみるという、そのゆとりさえあれば、そんなに人生捨てたもんじゃないなというふうに今頃になって思ってますので。」と語られています。
物事がうまくいかなくなると、つい視野が狭くなってしまったり、悲観的に考えてしまうことってありますよね。そんな時こそ、一度立ち止まって冷静になり、自分を客観的に見つめることができると、少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。辛い状況でも、その中にある良い面を見つけようとする心の余裕はとても大切だと思います。
「第五章:絆――夫婦について」より抜粋
「誰かに添って生きるって、人間が成熟していくために必要なことだと思うの。」
「内田さんを超える男性がいないってことでしょ?」と問われて。―2014年10月
希林さんがこの言葉で思い浮かべた「誰か」は夫である内田裕也さんですが、この言葉は読む人それぞれにとっての大切な誰かに重なるのではないでしょうか。人とのつながりの中で生きる私たちは、幸せを感じる瞬間もあれば、傷ついたり悩む瞬間もあります。それでも、相手を通じて新しい景色を見たり、自分を見つめ直すことができるからこそ、人は前に進めるのだと思います。
希林さんもこの言葉に続けて、「内田さんと一緒にいるのはある意味で打算。自分が成熟していくための打算なんです。」とユーモアを込めて語られています。
「第三章:老――老いと成熟について」より抜粋
「マイナスの出来事も含めて、自分の栄養かな。」
テレビ番組のインタビユーで、役者人生について語って。―2015年11月
「ずっと55年、役者をやってきて、マイナスも含めて。マイナスはマイナスではないんだね、けっして。」インタビューで語られた言葉が印象的でした。このシンプルで力強い言葉たちに、私はハッとさせられました。多くの経験を積んできた希林さんだからこその説得力だと思います。
私自身、ネガティブで完璧主義なところがあり、何かうまくいかないことがあると「マイナスだ」と感じ、それを避けようと必死で努力してきました。しかし希林さんの言葉を聞いて、私は「人間万事塞翁が馬」のことわざを思い出しました。人生では、幸せと不幸せは予測できず、そのときは「マイナス」だと思っていたことが、実は自分にとってプラスになっていたことがあるかもしれません。だからこそ、失敗やマイナスを悲観的に捉えるのはもったいないことだと気づきました。
希林さんのこの言葉に出会い、自分の考え方を見直すきっかけになったと思います。すぐに前向きに捉えられるわけではないけれど、いつか過去を振り返ったときに「あのときの失敗やマイナスは、自分にとって大切な経験だったんだ」と心から思える自分でいたいです。
読み終えた後の私の思い
希林さんの本を読んで、彼女の率直でありながらも温かみのある人柄や、深い考え方に心を動かされました。
ただその考え方は、希林さんが多くの経験を重ねた中で培われたものだと思います。彼女の言葉の背景には、人生の酸いも甘いも受け入れる力が感じられます。希林さんのように、日々の出来事を面白がって生きることができたら、世の中をもっと好きになれそうな気がします。私もこれからの人生を通して、一つひとつの経験を糧にしながら、自分らしい視点で日常を愛せるようになりたいと強く思いました。
さいごに
『樹木希林 120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ』は、人生に迷ったり、日々の暮らしの中で自分を見つめ直したいと思っている人にぴったりの一冊です。特に、完璧を求めすぎて自分にプレッシャーをかけてしまう人や、老いや死に対して不安を感じている人にとって、希林さんの言葉は心強い支えになると思います。
少し立ち止まって考えたいとき、心がほっとするような言葉を求めているときに、ぜひ手に取ってみてください。きっと、日常をより豊かに感じられるヒントが見つかると思います。